目次
はじめに
久々の更新となりました。
前回の更新が2019年11月20日でしたので3ヶ月ぶりの更新となります。
3ヶ月も何サボっとんねん!とツッコまないでください(笑)
ブログ更新をサボって(笑)いた間もTwitterからの発信は続けており、最近こんなツイートをしました。
前回のブログ記事と似たような内容ですがこちらも割と反響があって、やはりこのトピックに関心のある方が多いんだなぁと改めて感じました。
ただ、この記事を読んで、
という点が気になりました。
確かにS&Cコーチ(あるいはトレーニング指導者)になるために取らなければならない資格も関連する国家資格もありませんが、仕事としてトレーニング指導を行なうためにはそれ相応の知識が必要となります。
専門書や論文を読んだり、セミナーを受講したり、インターネットで情報を検索したりすれば、トレーニング指導を適切に行うに足る知識を身につける事は可能ですが、資格がなければ知識を持っていると証明する事ができません。資格は正しい知識を持っていると証明するものですので、トレーニング指導を仕事として行うためにはトレーニング指導に関連する資格を持つべきです。
実際に私を含め、S&Cコーチとして日本国内の競技スポーツの現場でトレーニング指導をしている方々の多くは次の2つ資格のいずれか or 両方を持っています。
②JATI-ATI
前回のブログ記事でもこの2つの資格について書きましたが、あまり詳しくは触れていませんでした。そこで今回は、アスリートにトレーニング指導をするための知識を持っている証となるこれらの資格について詳しくご紹介していきます。
CSCSとJATI-ATI
CSCS
全米ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)が発行している『認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト』という資格です。英語表記のCirtified Strength and Conditioning Specialistの頭文字を取って「シーエスシーエス」と呼ばれています。
CSCS試験要項
CSCS出題範囲
NSCS認定試験ハンドブック(いずれもNSCAジャパンHPより)
JATI-ATI
日本トレーニング指導者協会(JATI)が発行している『認定トレーニング指導者』という資格です。英語表記のAccredited Training Instructorの頭文字を取って「エーティーアイ」と呼ばれています。
JATI認定資格について
JATI-ATI養成講習会(いずれも日本トレーニング指導者協会HPより)
そしてこれらの資格のいずれかを取得していることが、国立スポーツ科学センター(JISS)を始めとする、多くの競技スポーツ現場のS&Cコーチ採用における必須条件となっています。つまり、この2つの資格が今のところ日本国内でアスリートにトレーニング指導をするために必要な資格のスタンダードになっていると言えます。
CSCSとJATI-ATI取得に必要となる知識
トレーニング指導をするために必要な知識は多岐に渡ります。
NSCAジャパンとJATIのHPに掲載されている情報を基に、主なものを簡単に箇条書きにしてみました。
まずは、
- 機能解剖学(身体の構造と関節運動の仕組み)
- 運動生理学(筋収縮とエネルギー代謝の仕組み)
- バイオメカニクス(生体力学)
- 筋力トレーニングに対する人体の適応反応
- 持久力トレーニングに対する人体の適応反応
- トレーニング適応における年齢差および性差
- 心理学
- 栄養学
など、ヒトの身体や心に関する基礎知識から、
- 身体能力および運動能力の測定
- 測定結果の評価とフィードバック
といった、トレーニング課題の抽出方法。
そして、
- ウォームアップとクールダウンの方法
- ウェイトトレーニングの適切なテクニック
といった、実際のエクササイズ指導法、
- ウェイトトレーニングのプログラム作成
- プライオメトリクスのプログラム作成
- スピード・アジリティトレーニングのプログラム作成
- 有酸素トレーニングのプログラムデザイン
- トレーニング計画の立て方(ピリオダイゼーション)
- リ・コンディショニング
といったトレーニング計画の立て方やプログラム作成の方法まで。
さらには、
- トレーニング組織および施設の運営
といったトレーニング指導にまつわるマネジメントに関する知識も必要とされます。
「え?トレーニング指導って、筋トレのやり方を詳しく知ってたらできるんじゃないの?」と思っていた方もいらっしゃるかも知れません。ですが、安全で効果的なトレーニング指導をするためにはこれらの知識を身につける必要があります。
トレーニング指導者という職業は非常に高度な専門職なのです。
まとめ
今回はアスリートにトレーニング指導をするために必要となる資格【CSCS, JATI-ATI】をご紹介しました。
紹介したCSCS, JATI-ATI以外にもトレーニング指導に関する専門資格はあります(NSCA-CPT, NASM-PES, NESTA-PFT など)。これらも取得するためには高度な知識が必要とされる資格ですが、私はこれらのうちNSCA-CPT以外の資格を持っていませんので詳しく書くことはしません。詳細に興味のある方はそれぞれのリンクを参照してみてください。
ただし、資格はあくまで資格であって、取得したからといってすぐに現場でトレーニング指導者としての仕事に就けるというものではありませんし、資格を持っている人が必ずしも優秀なトレーニング指導者という訳でもありません。
仕事を得るには資格だけでなく人脈や人間性も必要になりますし、現場に出てからも基礎知識では対応できない状況に出くわすことも多く、より良い指導をするためには更に学びを続け、これまでの知識を深めるとともに新しい知識を身に付ける努力が必要です。