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NSCAの新しい資格「パフォーマンス&スポーツサイエンティスト(CPSS)」について

みなさんこんにちは。
ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチの池田です。

今回は、NSCA(National Strength & Conditioning Association:全米ストレングス&コンディショニング協会)が新たに準備している認定資格「CPSS(Certified Performance & Sport Scientist:認定パフォーマンス&スポーツサイエンティスト」をご紹介します。

MEMO
本記事は、NSCA本部のHPの内容を日本語で要約したものです。
より詳細な内容については以下のリンクからご確認ください。
https://www.nsca.com/certification/cpss/

CPSSとはどのような資格か?

NSCAのHPでは、CPSSがどのような資格なのかを以下のように説明しています。

認定パフォーマンス&スポーツサイエンティスト™ (CPSS™)は、個人やチームの競技パフォーマンスを向上させ、怪我のリスクを軽減するための科学的プロセスの応用を専門としています。
CPSSは、スポーツ科学とスポーツパフォーマンスに関連する特定の科学的分野における訓練と応用経験を積んだ専門家です。

https://www.nsca.com/certification/cpss/

CPSS認定者は、複数のスポーツ科学分野の基礎知識と技術を応用し、パフォーマンス評価とテクノロジーを使うための方法を確立し、科学的研究のプロセスと応用を通じてエビデンスに基づいたトレーニング方法を提案する能力を有します。
CPSSは、スポーツコーチ、スポーツパフォーマンススタッフ、医療スタッフ達との生産的な関係を維持し、スポーツや競技パフォーマンスにおけるコミュニケーションと意思決定を強化します。

https://www.nsca.com/certification/cpss/

CPSS は、安全かつ効果的に競技パフォーマンスを向上させることを第一の目標とし、科学的分野の応用、評価、トレーニング理論とプロセス、ニーズ分析、モニタリング、コミュニケーション、教育においてその専門能力を発揮します。

https://www.nsca.com/certification/cpss/scope-of-practice/

つまりCPSSとは、CSCSやNSCA-CPTといったトレーニングを実践指導するための資格ではなく、スポーツ科学研究の知識と経験を持った人材が、実践指導者に助言を与え、彼らの意思決定をサポートするための資格と言えます。

CPSSの専門領域

CPSS認定者は、スポーツ科学と競技パフォーマンスに適用される科学的分野における専門知識と応用経験を持つ実践者です。
CPSSの専門領域となるスポーツ科学の領域は以下の通りです。

  • バイオメカニクス
  • データサイエンス
  • 栄養学
  • 生理学
  • 心理学
  • 研究方法
  • ストレングス&コンディショニング

これらのスポーツや競技パフォーマンスに関連する主要な科学分野を理解し、その知識を実践に応用できることは大前提となるようです。
この点ではCSCSやNSCA-CPTとあまり変わりはないのですが、CPSSにはこれら以外にも重要となる知識やスキルが求められており、そこがこの資格がトレーニングの実践指導に特化したCSCSやNSCA-CPTとは一線を画している最大の特徴ではないかと思います。

CPSSに求められる知識とスキル

CPSSに求められる重要な知識とスキルには以下のようなものが挙げられています。

  • パフォーマンスを評価・モニタリング するためのテクノロジーを理解している
  • 主要なパフォーマンス指標のデータを収集するためのテクノロジーを選択できる
  • 科学的研究手法および統計学を理解し応用することができる
  • 研究のデザインおよび実施ができる
  • パフォーマンスデータの定性(質的な)および定量(量的な)分析ができる
  • 科学的知見(エビデンス)を批判的に評価しそれらに基づいた実践ができる

つまり、アスリートのパフォーマンスや身体能力を科学的な手法を用いて調査・検証するという「研究者」としての能力が必要である、ということになります。さらに言えば、実施する調査・検証(=研究)はコーチやスタッフ、選手たちにフィードバックし、パフォーマンス向上に「直接的に」役立ててもらうことが目的となりますので、現場の人間と同じ考えや感覚も併せ持った研究者であることが望まれるのではないでしょうか。

CPSSの受験資格

現場感覚と研究経験の両方というとハードル高めに思いますが、実際の認定要件(受験資格)は以下の通りです。なかなかハードル高めです。

  1. スポーツ科学に関する「博士号」
  2. スポーツ科学に関する「修士号」および12週間(480時間)の実務経験
  3. スポーツ科学に関する「学士号」および3年間のフルタイム実務経験

1〜3のいずれかに該当していれば良いようですが、どれも難易度の高い条件ですね。

まとめ

今回は、NSCAがいま準備している新しい資格「認定パフォーマンス&スポーツサイエンティスト(CPSS)」をご紹介しました。記事の内容をまとめると以下のようになります。

  • コーチや選手に科学的なアドバイスを提供するための専門資格
  • スポーツ科学に関する知識を実践に応用することができる人材
  • 科学的な手法を用いてパフォーマンスを検証・分析することができる人材
  • スポーツ科学に関する高度な知識(博士・修士)と豊富な実践経験の両方が必要

一言で表すと「実践者としての考え方と経験を持った研究者」といったところでしょうか。非常に興味深い資格だなと感じますので近い将来取得を目指してみようと思います。

ただ、現場の指導者の中には科学や研究をあまり重視していない人がいたり、基礎的な研究に携わっておられる研究者の中には現場にあまり興味がない人もおられたりと、現場の指導者と研究者との間にはまだ少し距離があるのは事実です。そのような日本のスポーツ界において、現場に科学的な知見や手法を応用するためのスポーツサイエンティストの重要性がどこまで高まるのか?については今はまだ何とも言えないところですね。

個人的には、スポーツ科学に興味を持って選手育成に応用したいと考える指導者がもっと現場に増えてくるといいなと思いますし、スポーツ科学がもっと簡単に現場で応用できるようになっていけばいいなと思います。

注意
CPSSはNSCAアメリカ本部でもまだ資格発行に向けて準備がされている段階です。NSCAの日本支部となっているNSCAジャパンからはCPSSに関するアナウンスは今のところありませんので、今後日本で認定試験が実施されるかどうかについてはまだ不明ですのでご注意ください。