みなさんこんにちは。
S&Cコーチの池田です。
先日、スポーツドクター、アスレティックトレーナー(AT)、理学療法士(PT)、鍼・灸師、柔道整復師などのスポーツ医療専門職のみなさんのコミュニティであるSpolinkさんからwebセミナー講師のご依頼を受け、「S&CおよびS&Cコーチとはなんぞや?スポーツ医療専門職との関わり方は?」についてお話しさせていただきました。
その中で「コンディショニング」の概念についても解説したのですが、みなさんはこの「コンディショニング」をどのように解釈されていますか?
スポーツの現場で監督・コーチやスポーツ医療専門職(AT,PT,治療家)の方々と会話する中で「コンディショニング」という用語が出てくる時があるのですが、イマイチ話が噛み合わない場合が少なくありません。どうやらスポーツ医療専門職の皆さんの「コンディショニング」に対する認識とS&Cコーチのそれとの間には少なからずギャップがあるようです。
そこで今回は「コンディショニング」という用語について、スポーツ医療専門職のみなさんとS&Cコーチとの認識の違いについて書いてみようと思います。
目次
コンディショニングとは?
まず言葉の意味についてです。
weblio英和辞典では、
条件づけ、(心身の)調整、(動物などの)調教、(空気)調節
とあります。
つまりスポーツの現場においては、プレーするための条件付けや心身の調整といった意味合いのある用語だと言えますね(ここでは調教や空気の調節は省きましょう)。
もう少し具体的には、
プレーするために必要な心身の条件を、ケガなく安全に高いパフォーマンスが発揮できる状態にまで準備していく事
と言う事もできるのではないでしょうか。
S&Cコーチもスポーツ医療専門職の皆さんも、選手がケガなくパフォーマンスを発揮するために何かしらのアプローチをしていく訳ですので、全員がコンディショニングに従事していると言えます。しかし、その介入方法がS&Cコーチとスポーツ医療専門職のみなさんとでは大きく異なります。この辺りが「コンディショニング」に対する認識のギャップに繋がっているんだろうなど思う訳です。
スポーツ医療専門職の考えるコンディショニング
まずは、スポーツ医療専門職の皆さんの考える「コンディショニング」の定義についてです。
スポーツの現場ではコンディショニングと言うと「身体機能の調整」というイメージがあるのではないでしょうか。
例えば、監督や選手にとっては「試合前に練習強度や練習量を抑えて疲労を回復させつつ試合当日に向けて体調を整える」だったり、ATやPTにとっては「柔軟性や可動域、筋出力のアンバランスを調整することで安全に効率よく身体操作ができる状態に持っていく」だったり、鍼・灸師や柔道整復師といった治療家にとっては「治療や手技によって患部の痛みをコントロールしたり疲労を回復させて全力でプレーできる状態に持っていく」といった認識があるのではないかと思います。
つまり、これらは総じて
といった概念やアプローチのことを指すのではないかと思います。
S&Cコーチの考えるコンディショニング
では、S&Cコーチの考える「コンディショニング」とは何でしょうか?
全米S&C協会(NSCA)ではコンディショニングを以下のように定義しています。
スポーツパフォーマンスを最大限に高めるために、筋力やパワーを向上させつつ、柔軟性、全身持久力など競技パフォーマンスに関連するすべての要素をトレーニングし、身体的な準備を整えることと定義されます(以下略)。
これは、高いパフォーマンスを発揮するための条件となる体力要素をトレーニングして身体能力を向上させる事、と言い変えることができ、
具体的には、
- ウェイトトレーニングで最大筋力を高める or 筋肉を増やす
- プライオメトリクスで爆発的筋力やパワーを高める
- スピードトレーニングで速く走れる or/and 素早く止まれるようにする
- アジリティトレーニングで方向転換能力や敏捷性を高める
- 持久力トレーニングで長時間動き続けられる能力を獲得する
事を意味します。
つまり、S&Cコーチが言うコンディショニングとは、
という概念やアプローチを指します。
まとめ
このように、AT, PT, 治療家といったスポーツ医療専門職の皆さんと我々S&Cコーチが実施している「コンディショニング」は、選手がいいプレーをするための身体的な準備をサポートする、という意味では同じ事をやっているんですが、それぞれアプローチする部分が違っている、ということになります。
いかんせんS&Cコーチのコンディショニングの概念がちょっと特殊なのが、スポーツ指導者や選手、スポーツ医療専門職と話していてもイマイチ話が噛み合わない理由になってるんだろうなぁ、改めて思いました。
S&Cコーチの皆さん、そういう訳ですので「指導者やトレーナーと話しててもイマイチ通じないな。」なんて思わずに、誤解があったら丁寧に説明するようにしてみてください(笑)
皆さんの現場での参考になれば幸いです。